明治の芝居小屋
私の故郷(秋田県小坂町)で18年ぶりに中村屋一門の歌舞伎特別公演が町の芝居小屋「康楽館」で行われ、幸運にもチケットが取れたので行ってきました。18年前には先代の中村勘三郎さんの襲名披露公演が行われ、その時は亡母と一緒に素晴らしい公演を観た思い出があります。今回はその勘三郎さんの13回忌で全国の芝居小屋やホールを会場にした巡業でした。
康楽館は昔ながらの座敷席で、回り舞台も舞台下で人力で動かすなど風情のある芝居小屋です。役者さんに手が届くくらいの距離感と熱演にどよめきや歓声がおこる一体感はなんとも言えないものです。子どもの頃はあまり興味のなかった芝居小屋も大人になると町の文化財としてずっと残してほしいと思うようになりました。
今回は勘九郎さんが体調不良で休演のため、女形の七之助さんが常盤御前と薙刀を振り回す弁慶の二役を演じるという滅多に見ることのできない演目に満足して帰ってきました。